「会社の健康診断を受けているから大丈夫」「自覚症状もないし、まだ大丈夫」そう思って機会を逃していませんか?
私自身、復職してからは毎年きちんと職員健診を受けていました。自覚症状もなく、検査の数値でも、精査が必要な項目は一つも出ていませんでした。
悪性腫瘍が見つかったのは昨年です。人間ドックとして追加された腹部エコーで、希少がん(神経内分泌腫瘍:NET)が見つかりました。
もちろん、人間ドックを受けても、すべての病気が見つかるわけではありません。しかし私のように、職場の健診だけでは分からない病気が見つかることもあります。
結論を先に伝えると、人間ドックで追加される検査をこれまで受けたことがない方や、かなり年数が空いている方には、一度受診することをおすすめします。年齢とともに、これまでの健診だけでは十分とはいえない部分が出てくるからです。
- 職場の健診と人間ドック、何がどう違うのか
- 人間ドックはどこで受けるのがいいのか(総合病院・健診センター・健診も行うクリニック)
- 国が推奨するがん検診と50代で追加しておきたい検査
- 「要精密検査」と言われたあとに、いちばん大切なこと
健診・人間ドックの違い
| 項目 | 職場の健診 | 人間ドック |
|---|---|---|
| 目的 | 労働安全衛生法に基づく健康チェック | 病気の早期発見・予防 |
| 検査内容 | 必要最低限の基本項目 | 基本項目に加え、がん検診や腹部超音波、胃カメラなど幅広い検査 |
| 対象 | 会社員など(事業者が実施) | 希望する人が受診 |
| 費用 | 会社負担が一般的 | 自己負担(一部補助がある場合も) |
| こんな方に | 40代までで、これまで指摘を受けたことがない方。まずはここが土台になります | 50代以上の方/胃・大腸・おなかの検査を数年受けていない方/家族に同じ病気の方がいる方 |

職場によっては、法定項目に上乗せしてがん検診や人間ドックの補助を用意しているところもあります。今回の私がまさにそうでした。
会社の定期健康診断は、労働安全衛生規則で決められた項目を行います。
①身長・体重・腹囲
②視力・聴力
③胸部X線
④血圧、採血(貧血、肝機能、血中脂質、血糖)採尿
⑤心電図



お勤めをされていない方にも、特定健診と市町村のがん検診の案内は届きます。ただ、胃カメラや腹部エコーはそこに入っていません。この部分こそ、人間ドックで足しておきたいところです。
市町村のがん検診や特定健診で、どこまでカバーできるのか。組み合わせ方はこちらにまとめました。


検査の仕事をしているので、普段は結果を出す側にいます。
自分の腫瘍が見つかったのは、職員健診に追加した腹部エコーでした。見つかった時点で、すでに遠隔転移していました。
進行がゆるやかなタイプの腫瘍です。だからこそ、主婦であったころに人間ドックを受けていれば、もっと早い段階で見つかっていたかもしれない。そこは今も悔やんでいます。
検査を受ける機会を逃している方は、一度受診を考えてみてください。
健診・人間ドックはどこで受ける?施設選びのポイント
健診や人間ドックを受けられる施設は、大きく分けると「総合病院」「健診センター」「健診も行うクリニック」があります。選ぶポイントは受診する方の背景によって異なります。順にお伝えします。



迷う場合は、健診も行うクリニックがちょうどいいと思います。理由は、3つを見比べていただくと分かります。
施設によって、検査の精度は違うの?
同じ検査を受けるなら、施設によって結果が大きく変わることはありません。
それでも気になる方は、日本人間ドック学会の「人間ドック健診施設機能評価」を受けている施設かどうかで確認できます。学会が施設の体制を審査して認定する仕組みで、認定を受けた施設は施設内やサイトにマークを掲示しています。
総合病院
おすすめの方:基礎疾患のある方や、がんの家族歴があるなどリスクの高い方
いちばん安心なのは、要精密検査項目が見つかった場合。そのまま同じ病院で精査に進み、治療が必要な場合はそのまま治療にも繋げられます。私のように希少疾患の場合でも、適切な治療機関の選定を担当医と相談し治療へと導いてもらえる安心感は最大の利点。
難点は予約です。健診や人間ドック後の精密検査後は、緊急性を要するものでなければ、一般の外来と同じ枠で取ることが多いです。平日のみ稼働の施設が多いため、自分の都合の良い日時での予約がなかなか取れません。私は自施設のスタッフでありながら検査の予約がなかなか取れず、要精密検査の通知を受け精査完了まで2.5か月かかりました。
健診センター
おすすめの方:これまで指摘を受けたことがなく、定期的なチェックが目的の方
健診に特化した施設で、診療は行っていません。特化しているため予約枠が多く、当日の流れもスムーズ。同じ検査をする側としても、スタッフの手際の良さはさすがと感心します。待ち時間も短く、その待ち時間も快適に過ごせるところが多い印象です。
経過観察程度なら、かかりつけ医への相談で事足りますので特に指摘がない場合は、健診センターでの受診で十分です。
要精密検査の結果が出た場合はちょっと厄介です。健診は自費のため、その結果だけを根拠に保険の紹介状(診療情報提供書)を出すことができません。そのため紹介先の案内でとどまることがほとんど。そうなると一旦かかりつけ医に相談して紹介状を書いてもらうか、ご自身で探さないといけません。特定機能病院や、200床以上の地域医療支援病院などでは、紹介状なしで受診すると選定療養費として初診時に7,000円以上が別途かかります。精密検査を受けるためにはその医療機関での受診が先になるので注意してください。
健診も行うクリニック
おすすめの方:まだ人間ドックを受けたことがない方や、過去の検査から年数が経っている方
最近は土日や休日も対応しているクリニックも多くなり、あらかじめ予約しておけば、比較的希望通りに受けられます。クリニックによってはある程度の精密検査もカバーでき、病院での本格的な検査が必要な場合でも次の医療機関へ繋いでもらえます。また通いやすい場所であれば、そのままかかりつけ医としても頼れます。
私は主婦時代に、初めて受けた市の乳がん検診で要精密検査の通知が届きました。検診を受けたクリニックから紹介してもらい総合病院でマンモトーム(組織を取る生検)を行いました。スケジュールがとてもスムーズに進んだことはありがたかったです。(幸いこちらは良性でした)
| 予約の取りやすさ | 精査が必要な場合 | |
|---|---|---|
| 総合病院 | △ 希望の日時では取りづらい | ◎ 同じ施設で精査から治療まで進める |
| 健診センター | ◎ 直近の枠が取りやすい | △ 紹介先の案内までにとどまる施設が多い |
| 健診も行うクリニック | ◯ 比較的取りやすい | ◯ 紹介状を書いてもらえる |
50代で受けたい検査|国が推奨するがん検診と追加したい検査
国が推奨している5つのがん検診
| がん種 | 検査方法 | 対象年齢 | 間隔 |
|---|---|---|---|
| 胃がん | 胃X線(バリウム)または胃内視鏡 | 50歳以上 | 2年に1回 |
| 大腸がん | 便潜血検査(免疫法) | 40歳以上 | 年1回 |
| 肺がん | 胸部X線(+条件により喀痰細胞診) | 40歳以上 | 年1回 |
| 乳がん | マンモグラフィ | 40歳以上 | 2年に1回 |
| 子宮頸がん | 細胞診 | 20歳以上 | 2年に1回 |
肺がん検診では、50歳以上で喫煙量の多い方(喫煙指数600以上)に喀痰細胞診が追加されます。子宮頸がん検診は、自治体によっては30歳以上でHPV検査単独法(5年に1回)を選べるようになりました。
この5つは、受けることで死亡率が下がると確認されている検査です。自治体の補助が使えることも多いので、費用も抑えられます。まずここは定期的に検査を受けてください。
(出典:がん検診について|国立がん研究センター がん情報サービス)
追加したい検査はやはり、がんに関連する項目
子宮体がんの検査
閉経後の女性はリスクが高くなります。身近に、不正出血をきっかけに子宮体がんが見つかった人がいます。ちなみに子宮頸がんの検査では問題なしでした。
胃カメラ(上部内視鏡)
国の指針ではバリウムと胃カメラのどちらかを選べます。私は胃カメラをおすすめします。粘膜の色や凹凸を直接見られますし、気になる所見があればその場で組織を取り病理検査へ回してもらえます。バリウムで引っかかった場合、結局あとで胃カメラを受けることになります。
大腸内視鏡(CF)
市町村のがん検診では、大腸がんは便潜血検査です。内視鏡は入っていません。ちょっと不思議です。
同じガイドラインは、人間ドックのように自分で選んで受ける「任意型検診」については、利益と不利益を伝えたうえで本人の判断に委ねるとしています。つまり、足すかどうかは自分で決めていい項目です。
検査のハードルが少し高いのがネックではありますが、罹患してしまったら治療のほうが大変です。初期であれば治る可能性も高いですし、ポリープがあればその場で切除もできます。特に一度も受けたことのない方は、一度受けていただくことをおすすめします。
腹部エコー
これも国のがん検診の指針には入っていません。理由は大腸内視鏡と同じで、全員に行う検診としての根拠が、まだ確立していないからです。
腹部エコーでは、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓の状態が映し出されます。確定診断にはなりませんが、私のようにこの画像がきっかけで隠れている疾患が見つかることもあります。痛みも被ばくもないため、一緒に受けていただくことをおすすめします。
「要精密検査」の指摘があれば必ず精査を
私が健診センターで仕事をしていたころ、毎年の健診は受けているもののそれだけで終わってしまっている方も一定数いらっしゃいました。
国もここを重く見ていて、がん検診では「精密検査をきちんと受けた人の割合」を最も重要な指標として、市区町村ごとに集計し公表しています。
大腸がんは、要精密検査と言われた人の約3割が、その先へ進んでいません。現場で感じていたことが、そのまま数字に出ています。
要精密検査の通知でも、私の乳がん検診のように結果的には「問題なし」であることもありえます。何もなければもうけもの、何かあればそこからが治療と向き合うことになります。
健康を損なうと自分だけでなく家族や周りの関係者にもひずみが出ます。仕事、お金、交流会や余暇……
ただ予防策を講じれば、ある程度は防げます。そのためにもしっかりとご自身の体と向き合ってください。
これが私からのメッセージです。
この記事のまとめ
- 健康診断と人間ドックは別のもの。決められた項目を受けるか、自分で組み立てるか
- 職場の健康診断に、胃・大腸・乳房・子宮頸部の検査は入っていない。制度そのものが別
- 施設は「予約が取りやすいか」「精査が必要になったとき紹介状が出るか」の2つで選ぶ
- まず国が推奨する5つ。足すなら、子宮体がん・胃カメラ・大腸内視鏡・腹部エコー。家族歴があれば医師に伝える
- 受けて終わりにしない。要精密検査の通知が来たら、必ず精査を。
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