50代医療職、ブランクからの転職は可能だった|臨床経験ゼロの検査技師が選んだ道

50代でブランクがあり、臨床経験もない。
医療職としてもう一度働きたいと思っても、
「今さらフルタイム勤務は務まるのか」と、不安にもなりました。

結論から言うと、私は50代・臨床経験ゼロの状態から、
自分に合った働き方を選ぶことができました。

それは一直線のキャリアでも、華やかな成功談でもありません。
ライフスタイルの変化に合わせて、
少しずつ選び直してきた結果です。

この記事では、
ブランクのある医療職がどんな考え方で転職と向き合えばいいのかを、
私自身の経験を通してお伝えします。
今後の転職を考えている方の、何かしらの参考になれば嬉しいです。

目次

卒業後すぐにキャリアを中断した私のスタート地点

臨床検査技師として大学を卒業した後、私は健診機関に就職しました。
新卒として働いた期間は約3年間です。
その後、結婚と妊娠を機に退職。当時は寿退社が当たり前であった時代で、
将来のキャリアについて深く考えていたわけではありません。

出産後は育てに専念し、しばらくの間は専業主婦として過ごしていました。
医療職として再び働くことになるとは、この時点では正直なところ考えてはいなかったんです。

子どもの食物アレルギーが、再び医療の現場につながった

 専業主婦として子育てをしていた頃、長女に複数の食物アレルギーがあることが分かりました。
市のアレルギー相談を利用した際、偶然にも担当医が、私の卒業同期にあたる医師だったのです。

その後、相談医の大学病院で長女の通院を続け、ある受診日にその医師から
「検査技師として、仕事に復帰することは考えていないか」
と声をかけられました。小児科医局で、食物アレルギーに関する研究補助員を募集しているとのこと。
この縁から、私は大学病院の小児科医局でパートとして働くことになりました。

仕事の内容は、研究補助業務です。食物アレルギーの研究に関わり、
血液検体を使った実験補助や、データ整理などを担当することに。
気がつけば、もう一度医療の世界に、しかも自分が卒業した大学に戻ってくることになりました。
学生時代には、夢にも思っていなかったことです。

研究業務を通して「臨床以外の医療の道」を知った

小児科医局での研究補助業務と並行して、腎臓内科の医局からも声をかけていただき、
曜日別に研究補助として勤務を続けるようになりました。

腎臓内科では、小動物を用いた基礎研究にも携わりました。
動物実験に関する倫理的な講義を受講し、実験動物施設内の飼育室でマウスの管理や
手技室で実験業務の補助を行いました。

今はネット検索が中心でしょうが、実験業務で分からないことがあると、大学の図書館でよく調べごとをしました。
そんな中、たまたま手に取った治験の書物を読み、治験を知る事になります。
言葉自体は聞いた事がある程度。当時は詳しい知識はありませんでした。
しかし書籍を読み進めるうちに、「今、自分が関わっている研究が、
こうして実際の医療につながっていくのか」と強く印象に残ったことを覚えています。

研究と臨床をつなぐ役割としての治験、そしてその現場を支える仕事があることを知り、
私は少しずつ、治験の世界に興味を持つように。
研究業務は臨床とは異なりますが、実際の医療につながる土台を支えている大事な段階であることを、
日々の業務を通して実感するようになりました
研究補助として働き、通算で約5年。この先、自分はどのような形で仕事に向き合っていくか、
そろそろフルタイム勤務も考えるようになっていたとところでした。

43歳、未経験でSMOに転職した理由

これまでの経験は、決して無駄ではなかったと気づいた

研究補助員として数年業務をこなす中で、もう病院で働く検査技師としての就業は難しいのではないか
そう感じていました。

しかし振り返ってみると、手順を守って行う実験データの扱い、倫理を重視する環境での業務、
そして医師や研究者とやり取りをしながら仕事を進めてきた経験は、
どれも医療の現場に欠かせない要素でした。

臨床経験がないことばかりに目を向けていましたが、医療職として積み重ねてきた経験が、決してゼロではない
そう思えたことが、転職を考える上で大きな支えになりました。

今までやってきたことが、形を変えてでも次につながるかもしれない。
そう感じられたことが、治験という分野に踏み出す後押しになったのです。

子どもの進路を考える中で、自分の働き方を見つめ直した

子どもが成長し、将来の進路や仕事について話す機会が増える中で、
「資格のある仕事」「安定した働き方」といった言葉を口にするようになりました。

そんな会話を続けるうちに、ふと自分自身はどうだろう、と立ち止まったのです。
医療の資格を持ちながら、十分に活かせていないのではないか。

このまま年齢を重ねていったとき、自分は何をしてきたと言えるだろうか。
子どもに向けた言葉が、そのまま自分への問いかけになっていました。

もう一度、資格を持つ医療職として働く道を選んでもいいのではないか
そう考えるようになったことも、転職を決意した理由の一つです。

人生100年時代、もう一度、「働き方」を選び直してもいいと思えた

当時、私は40代に入り、今から新しい分野に挑戦するのは遅いのではないか、
そんな不安も正直ありました。

けれど一方で、時代の流れや今後の人生を考えてみたところ、まだまだ折り返し地点ではないか。
であれば、これからリスタートを切り、今の自分に合った働き方を、
もう一度選び直してもいいのではないか。
そう思いました。

そう考えるようになり、43歳で未経験からCRC(治験コーディネーター)として
新たな一歩を踏み出す決断をしました。

ブランクがあっても、選び直すことはできる
― 遠回りに見えた経験が、道になることもある ―

転職や復職を考えたとき、多くの人が「自分にはもう何もないのではないか」と感じてしまうように思います。
「できていないこと」ばかりに目が向き、本当は身についている力に、
気づけていない人がとても多いと感じています。
私自身も、その一人でした。

医療職としてのキャリアに自信が持てなかった一方で、
振り返ってみると、専業主婦時代の日常生活の中で、実に多くの経験を積んできました。
小学校のPTA役員や子ども会の会長。意見を調整し、まとめること。限られた条件の中で最善策を考えること。
そうした役割を繰り返すうちに、「意外と自分はやれているのかもしれない」と感じるようになりました。
皆さんも、自治体の当番やボランティア活動など、知らず知らずのうちに、
誰かの力になっている活動はされてませんか。

転職や復職を考えるときは、「何ができないか」ではなく、
「これまでに何をしてきたか」を、一度丁寧に書き出してみてください。
そこには、これからの働き方につながるあなただけの強みが、きっと見つかるはずです。

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この記事を書いた人

3人の子育てを終え、現在は医療専門職として働きながら心地よい暮らしを模索している50代です。

医療現場や予防医療、学術研究など、さまざまな角度から健康に携わってきました。一方で、長年家庭を支えてきた専業主婦としての視点も大切にしています。

医療の現場にいるからこそ気づく健康のヒントや、50代からの再チャレンジ、そして日々の暮らしの出来事。実体験をもとに、同じ悩みを持つ方の解決の糸口や、何かのヒントになる情報をシェアしていきます。

人生100年時代。まだまだアップデートは必要です。

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